​◆トピック
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​◆単板と合板

 ギターのカタログを見ると,材料が「スプルース単板」などと書いてありますが,これはどういうことかご存じですか?単板というのは無垢の板という意味であり,合板ではないということです。合板というのは数種類の木材を薄くスライスしたものを,貼り合わせたもので,簡単に言えばベニヤ板のことです。合板の場合,表面以外の内部の木材は見えないことから様々なものが使われ,複数の種類の木が合わさることから,丈夫でかつ材料費が極めて安くできるために,建材や安価な家具でよく使われます。しかし合板にもレベルがあり,とても格安なものとそうでないものがあります。

 

 一番安価なものは,木の廃材などのチップを接着剤と混合し,押し固めたパーティクルボードまたはMDFと呼ばれるものです。これらの表面には当然木目はありませんが,木目が印刷されたシートが貼られ,プリント合板などと呼ばれます。どうせ印刷するならば,最高級な木目の揃ったマツや豪快な木目のローズウッドの方が見た目が良いですから,できるだけ高級材を印刷したものが貼られ,外観的には素晴らしい木材に見えます。最新の印刷技術は大変優れており,一般の方では,ギターの形になったこうした材が,印刷かどうか見抜くのは困難です。次に安いものは,前述のパーティクルボードなどに,天然木を大根のかつら剥きのように薄くスライスしたものを貼ったものです。一般には突き板とか化粧板と呼ばれています。この種の表面は,間違いなく本物の木ですので,見た目だけで見分けることは不可能です。木材は楽器,家具,建材などに加工後,空気中の水分や温度によって歪んだり曲がったり割れたりしますので,そうしたことを防ぐためには,こうした材料は有効です。しかし楽器に使われると,それは本来持っている木材の音ではなくなってしまい,単に木材を装った別の材料ということになってしまいます。

 

 合板の中でも,単板積層材というものもあります。これは天然の無垢材だけを2種類貼り合わせたもので単板ともいえますし,場合によっては合板とも言えます。有名なスペインのラミレス社の最高級クラスのギター(400万円もします)は,裏側板がローズウッドですが,サウンドホールから中を覗くと,内側はスプルースになっています。ボディはローズウッドの単板でできていますが,音質のために内側にスプルースをはってあります。これもある意味,合板と言えるかもしれませんが,楽器の場合,通常は表裏それぞれの無垢材の二重構造と解釈されます。

 

 それではカタログにはどのように表記されるのでしょうか?実際には単板の場合は,○○単板と誇らしげに書かれますが,合板の場合何も書かないのが通例ですので,単板と表記がなかった場合は合板だと思って下さい。しかしある程度の価格帯のギターの場合,単板を使うのが当然で,合板など使うわけがないという場合は,あえて単板とは書いてない場合もあります。例えば,表面板:スプルース単板,裏板:ローズウッドと記載があった場合は,表面板は単板だが,裏板は合板(表面だけローズウッドの突き板またはプリント)という事になります。

スプルース単板
スプルース突き板(化粧板)
プリントによるローズウッド合板。突き板ではなくプリントです。
簡単には見分けはつきません。
合板の基材となるMDF材