Model CL-S

390,000円(税込・ケース付)

 ギターのボディーは,響板となる表面板が振動することにより音を発し,裏・側板は振動する表面板をしっかりと支える役目があります。支える役目の裏・側板が一緒に振動してしまうと,表面板は正しい振動ができなくなります。そのため裏・側板には,硬くて重いローズウッドなどが用いられますが,それでもまだ随分振動しており,表面板の振動を邪魔しています。そこで,このModel CL-Sでは,オーディオのスピーカーの理論を応用したボディが使われています。高級スピーカーのボディ(エンクロジャー)は,スピーカーの振動板のみを正しく振動させるために,極めて強固に作られており,どんな周波数の振動にも共振しない工夫がされています。それにより,振動板は入力された信号に極めて正しく振動し,必要な音のみを発し,余分な音を発しません。ギターのボディにも,これと同じ考えがあてはまります。表面板の周囲には厚く頑丈なフレームが入っており,側板とともに表面板をしっかりと支え,表面板に余分な振動をさせない構造になっています。

 もう一つの特徴は,裏板が膨らんだラウンドバックです。通常,ギターの裏板は,薄い板を中央で継ぎ合わせるので,サウンドホールから裏板内側を見ると,横向きに数本の補強材と中央に縦に1本木材が入っています。しかしこのCL-Sの裏板は,厚いローズウッドから,ヴァイオリンのように削り出すことにより,裏板が膨らんだ構造になっています。そのため補強が必要なく,裏板の内側には,音の反射の邪魔になるような補強材がありません。

 

 ギターの表面板の裏側には,力木という数本の木材が取り付けられており,ギターの音質は,この力木の長さ,太さ,配置などにより決まります。それぞれの製作家やメーカーは,ここに様々な工夫をこらすことにより,独自の音を追求しています。19世紀末からクラシックギターでは,6〜7本の力木を団扇の骨のような扇状に配置する方法が最も一般的ですが,現代のアコースティックギター(フォークギター)などでは,より大きく張りのある音を目指し,主に格子状の力木配置が採用されています。このCL-Sでは,アコースティックギターのような格子状力木をクラシックギター用に改良した配置を採用し,先に述べたフレーム構造とともに,クラシックギターの独特な音色を維持しながら,より大きく力強い音を追求しました。

 

 表面板にはヒマラヤスギという木材を用いています。これは一般にギターに使われるスギ科の米杉(レッドシダー)ではなく,スプルースと同様のマツ科に属する木材です。木の外観がスギに似ているために,日本ではヒマラヤスギと呼ばれていますが,植物学的にはマツ綱(Pinopsida)/マツ目(Pinales)/マツ科(Pinaceae)/ヒマラヤスギ属(Cedrus)に属す木です。見た目にはやや赤みがかかった木質で,スギのように見えますが,音質は松と杉の中間的な音です。

◆材質

表面板:ヒマラヤスギ

裏 板:ローズウッド(削り出しラウンドバック) or 

    ハワイアンコア(削り出しラウンドバック)

側 板:ローズウッド or ハワイアンコア

ネック:マホガニー(エボニー補強入)

指 板:エボニー

 駒 :ローズウッド or ハワイアンコア

塗 装:セラック(艶あり)or

    オイルフィニッシュ(艶消し)

◆サイズ

弦 長:650mm

全 長:1004mm

胴 幅:280mm(上部最大)

   :235mm(くぶれ部分)

   :370mm(下部最大)

胴 厚:98mm(ネック接合部)

   :104mm(底部)

ネック幅:52mm(0フレット)

    :63mm(12フレット)

ネック厚:22mm(1フレット)

    :23mm(9フレット)

◆その他

構 造:フレーム構造および格子状力木配置

フレット:20フレット有り

ブリッジ弦留:2分割式スーパーチップ

ペ グ:ゴトー 35AR1600(アルミ軸/象牙調つまみ)

    ゴトー 35ARB1600(黒アルミ軸/黒檀つまみ)

​   (ゴトー35AR510シリーズにグレードアップ可能)

◆​ワシントン条約改正による材料の変更について

 裏板,側板,ブリッジ,ヘッドに従来使用していたローズウッド(品種に関わらずマメ科の木材すべて)は,希少動植物保護を目的としたCITES<ワシントン条約>の2017年の改正により,事実上輸出入出来なくなりました。そのため,当工房では希少動植物保護の観点から,いち早くワシントン条約を遵守することとし,ローズウッドの在庫がなくなり次第,ハワイアンコアという木材を使用することに致しました。ハワイアンコアは古くからウクレレでは最高級材料として使用されておりますが,幅の広い板を取ることが困難なため,これまでギターにはあまり用いられてきませんでした。しかし実際にはローズウッドより希少価値の高い木材で,ギター用材として使うには最適です。

 材料の変更により,音には大きな変化はございませんが,やや明るめの明瞭な音になる傾向があります。また木目,色合いなど外観の印象がやや明るい茶色になりますことをご了承下さい。